a、病態
ギランバレー症候群の大きな特徴は、免疫性疾患で、IVIGが有効ということです。また、ステロイドが無効、ということも知っておいてよいでしょう。
ギランバレー症候群は、中には劇的な回復を遂げられ、医療者も驚くほどの方がおられます。印象的なケースとして、一度人工呼吸器で、完全麻痺になった方が歩いて帰るということもあり得ます。
さて、その予後を決める因子ですが、一つは、「脱髄型か軸索型か」ということがあります。
AIDPとAMANは、それぞれ、脱髄型か軸索型かに対応しており、一般的にAMANの方が予後不良です。軸索が失われると、神経が再生する足場がなくなるためと考えられています。なお、AIDPとAMANの区別はNCSでわかります。(NCSの脱髄、軸索障害はこちら)
また、ガングリオシド抗体の種類もある程度予後を反映すると言われています。(ガングリオシド抗体の提出方法はこちら。結果返却には1か月程度かかりますので、治療後に結果がわかることが多いです)
b、特徴的身体所見
ギランバレー症候群は、症状が完成した場合、いわゆるポリニューロパチーの分布をきたします。すなわち、遠位部の筋力低下、腱反射低下、末梢の異常感覚です。
しかし、救急外来に、その前の段階でこられることがあることも知っておいていいでしょう。
不完全な状態でこられたギランバレー症候群は、「元気そうなのに足が上がらない、立てない」から、臨床診断していることが多いです。
なお、余談ですが、救急外来の「立てなくなった。ギランバレー症候群どうでしょうか」は、よくよくみると、「意識障害」「採血が悪い」が多いです。
「今まで病気したことない人が首から上は元気なのに足が上がらなくて立てない」がギランバレー症候群の第一印象です。
c、鑑別のポイント
ギランバレー症候群の検査としては、cの鑑別のポイントのように、ルンバール、NCSの異常、ガングリオシド抗体提出が行われます。
(ビタミンなどの内科的疾患も採血にいれておきます)
ただし、NCSは急性期は異常がでないことが多く、ガングリオシド抗体もすぐには結果が返ってきませんので、臨床診断でそれらしければ、dの標準治療に入ります。
d、標準治療
治療は、IVIGを行います。血漿交換も同等な効果をきたすのですが、治療の簡便さからIVIGが選択されることが多いです。ステロイドは無効です。
ギランバレー症候群は、中には劇的な回復を遂げられ、医療者も驚くほどの方がおられます。印象的なケースとして、一度人工呼吸器で、完全麻痺になった方が歩いて帰るということもあり得ます。
<豆知識・雑談>
これは、余談ですが、漫画のゴルゴ13は「ギランバレー症候群の疑い」という設定で、劇中に「ギランバレー症候群による麻痺のために急に銃が引けなくなる」という描写が何度かあります。
興味があるかたは、リンク先をご覧ください。ゴルゴ13がGBSを疑われる描写がでてきます。たしかに、狙撃された後に拳銃をつかめずに落としたり、花売りの少女と別れた後麻痺が軽減する描写があります。その後、男性の医師から診察を受けて、GBSと診断されます。
ゴルゴ13(喪服の似合う時)(外部リンク)
さて、この漫画の最初の診察のシーンまでをみて、皆さん「変だ」と思いませんでしたか?GBSについて勉強した人なら、次の質問に答えられるはずです。
ゴルゴの喪服の似合うときのGBSの診断は何が変か?(googleフォームへリンク)
この漫画の解説として、脳神経内科の専門の先生が、「ゴルゴ13がGBSというのはおかしい。」といっているページです。
日々不穏(ゴルゴ13とギランバレー)(外部リンク)
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