ここではですね筋萎縮性側索硬化症ALSについて見てみましょう。
ALSの病態のポイントですけども皆さん教科書的にもですねご存知かと思いますけども上位・下位運動ニューロン徴候があるというのが状態のポイントになります。実際診断もこの兆候がそろっているということから診断基準が作られています。なおこのUMN,LMNという略称は比較的よく使うので知っておいてもいいと思います。病歴の特徴としまして数ヶ月から数年、だいたい3年で、かなりの症状進行すると特徴があり、特に、球麻痺タイプのはですね特に早く死亡する例が多いと言われています。年齢でいうと、中高年に比較的多いという特徴があります。
特徴的な身体所見なんですけどもまず、筋萎縮と筋力低下ですね必ず見られなりますただ、筋萎縮筋力低下だけですとほかの疾患でもみられますので他の特徴としまして、fasciculationですね、これは下位運動ニューロン徴候特徴ですけどもこういったものに加えて、錐体路徴候すね上位運動ニューロン兆候といったものが見られることが特徴ですね。これらの兆候は、病気の時期によっては、あまり目立たない時期というのもありますのでそういった場合は、確定診断にいたらず、経過観察ということになることもあります。fasciculationはですね外から見えない場合もありますので、針筋電図等で検出できることもありますのでALSを疑った場合は、針筋電図検査というものが行われます。4番の陰性症状ですね感覚症状が出にくいというものも有名ではあります。実際は感覚の症状は、他の疾患たまたま合併している方もおられますので感覚症状といったものがあるからといってALSでないということも言えないということは注意が必要です。
診断の基準として貸してねel Escorial分類というものがよく用いられます。日本でつくられたAwaji基準というのもありますが、内容としてはどれも上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが揃っている領域が多いほど確実に近くなると、いった基準で作られています。筋電図の所見を下位運動ニューロン徴候として入れても良いと言われてます。例としてですね次の1番、2番というの見てみましょう。例えば舌萎縮があって下顎の反射が亢進している下肢でfasciculationも陽性だと言った場合には脳神経領域にupper, lowerの所見がある、と言ったことになりますね。1領域で陽性といったあつかいになります。次に、2例のですね。上肢で、筋萎縮があって、下肢で、筋萎縮がある。上肢は反射が低下していると、下肢は、腱反射保存されていると言った場合、下肢ですね腰髄の領域で上位と下位の兆候があると言ったことがわかりますね。上位と下位の両方がある領域が多いほどALSらしくなると、いうのが、この診断基準のポイントです。実際の臨床では、ALSというのは除外診断でされていることが多くてですね他の疾患の可能性がなくて、ALS以外にかんがえにくい病歴であると言った場合にはALS疑いという形でフォローするということも少なくありません。
ALSの診断にはですね、筋電図検査(EMG)というのは非常に重要になります。領域としてはですねよく行われる領域としては脳神経ではSCM(胸鎖乳突筋)やとかってあったりTrapezius(僧帽筋)が選択されます。上肢では、二頭筋と、1st DIO(第一背側骨間筋)ですね下肢ではQF(大腿四頭筋)やTA(前脛骨筋)といったといった領域ですねそれに加えてparaspinal(紡脊柱筋)と言ったところが選択されることが多いです。筋電図で、どの部位を検査するかというのは最初少し難しいとですので、最初は選択する筋については経験のある人と相談して入力するというふうにしたほうがいいと思います。
次に用いられる画像診断ですね。ALS特徴的と言われる画像所見というのはありませんのであくまで頭部のMRIあるいは脊髄のMRIは、除外目的で行う検査というふうに考えていただいて差し支えありません。あとは、SPECTの検査ですね、前頭側頭型認知症の合併が疑われる場合に追加するという場合もあります。NCSの解釈の注意ということでここに書いてあげてますけども一見脱髄に見えるような所見ですとか、wanningに見えるようなこともありますのでALSの診断は単一の検査に頼ることなくて病歴であったりですとかあの症状の分布ですねそういたったものを参考にして、総合的に判断してるということが多いと思います。
次に、認知症を合併するALSということについても少し述べておこうと思いますFTLD(前頭側頭型認知症)ですね昔、ピック病って言われたものですねALSに合併するということがあると言われてます。あのですねFTLDはなかなか症状に気づかれにくいということが多いということも特徴で例えばアルツハイマー病のようなんですね物忘れで同じこと何回も聞くといったものでなくてですね何かこだわりが強くなったりですとかそういった発症の仕方をすることが多いので、気付かれていないという例が多いという風に言われています。実際ALSでなくなられて、解剖すると実は想定されていたよりFTLDと診断されるケースがたくさんいるということも以前の知見からわかっています。あとの鑑別診断ですね画像所見だったりですとか、CT・採血・NCSで除外診断行うということも、診断の中に含まれています。
標準的な治療としましては経口摂取できるリルゾールや、ラジカット点滴と言ったことを行います。ですねこう行って難病の治療との比較的高額であるものが多いですので通常は診断がついた時点で難病申請を行って何で申請が下りた時点で治療開始するといったことが多いです。また、ラジカット入院の場合には入院初回導入には何が必要ですので入院いただいた上で導入して後は外来で行うということをやっております。
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使用した文書は以下にあります。
解説は、こちらの本の内容に沿って行いました(病棟にもあります。詳細は元の本を参照ください)。
<参考サイト>
Awaji基準を考慮したEl Escorial基準が載っています
表1が診断基準です。
表2に従って、表を埋めてゆき、表1をもとに診断グレードを決めます
・神経筋エコー
神経筋エコー(外部サイト):
A5、運動ニューロン疾患 3)
筋萎縮性側索硬化症での線維束性収縮①が上肢、②が舌。正常は筋収縮が連続的に起こる。
・特徴的な所見
1)上肢
split hand sign:ABP、DIOが萎縮し、Abd minimiが残る
fasciculation: 0:40~、上肢の振戦
2)顔面
corneomandibular reflex: 0:20~、右目の刺激で顎が左に偏移
jaw reflex: 0:15~正常、0:24~亢進
<雑学>
毛沢東は、ALSで死亡したといわれています。こちらのwiki記事の「1.12 死去」をみると、そのことが書いてあります。ところで、このことは、中国では、あまり触れないことになっているそうで、中国語版wikiをみると、「死因 心肌梗死」とあります(百度百科では、死因は触れられていません)。
<コメディカル向けの解説>
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