「神経内科ゴールデンハンドブック」の教科書をもとに作っていますので、元の文献も参考にしてください。(病棟にもあります)
a、脳梗塞は血栓性・塞栓性に分かれる
病態種類と区別です。
大きく分けると脳血栓症と脳塞栓症の二つからなります。どの教科書に書いてあることですが、臨床もこの二つの区別が重要になってきます。
なぜなら、この分類で治療が決まるからです。
血栓症の中での細かい区別というのはあるんですけども、ほとんど、この区別によって治療の大まかな方針が決まるということから病歴・検査からこの二つを区別することが、まず重要になってきます。
b、脳梗塞の病態によって病歴と身体所見が異なる
1)脳梗塞に特徴的なものとしては、発症の様式、階段状か突発性か、というパターンが多いです。階段性の場合は、血栓症、あるいは、突発性の場合は塞栓症を示唆する所見ということが、昔から言われております。
2)あと、いわれる皮質症状と言われるものですね。失語症・失認、意識障害も皮質症状のことが多いですけども、皮質症状が、ある場合は、アテローム血栓症か脳塞栓症を示唆します。ない場合は、ラクナ梗塞を示唆することが多いといわれています。
これは、MRIがない頃に確立した症候学的な特徴なんですけども、あくまで今はですねMRIがとれますので参考程度に、入院した場合に参考程度に考えておけばいいと思います。理由として、(本人や家族の)記憶は非常に曖昧ですので病歴をとってもですね必ずしもこの通りの結果にならないということあります。ただし、カンファレンスのプレゼンテーションの準備としてはこういったものもちゃんとっておいて検査結果と不整合がないということを確認しておいた方がいいです。
実際はどうしてるかと言いますと病歴の併存症である特にAf(心房細動)ですね。他の凝固系異常をきたすような塞栓源の原因となるようなものがあるか。
あとはですねMRI画像ですねこういったもので区別を行ってるというのが実際です。
c、脳梗塞の病態をMRIで推定する
MRIやエコー等で鑑別を行っていくんですけど、脳梗塞の病態の鑑別にどういったものを見てるかを示しています。
詳しい検査は、入院後一週間程度、かけて行なっていくんですけども入院直後はですね、心電図とMRIの情報しかありませんので、実際どうやって見てるかと言うと、MRAの狭窄具合から、アテローム性がどれくらい疑わしいか、心房細動の病歴や入院時の心電図での心房細動があるという場合には塞栓性を示唆する、というように見てます。
MRIの画像での見分け方なんですけども、詳しく次のスライドで見ていきますけども、もちろんこれは例外はすごくたくさんあります。
まず
1)単発性の場合ですね。
小さい場合はラクナ梗塞を示唆します。大きい場合は、塞栓症ですね。
2)多発性の場合は、塞栓症を示唆する所見という風なことですね。
実際の脳MRIの画像で説明
まず、単発性の場合です。
1)左
ラクナ梗塞です。穿通枝と言って、脳の深いところにある、細い血管に単発に起こるというのがラクナ梗塞の特徴です。ラクナ梗塞は、起こる場所が決まってまして、だいたいこういった基底核、あと橋のところにできる方もおられます。こういった場所にしかラクナ梗塞はできません。
2)真ん中
アテローム性ですね。単発なんですけども、辺縁だけ虚血に陥ってて、真ん中のあたりは残ってますよね。こういったのがアテローム性です。右にある塞栓性と比べれば、良く分かるんですけども、完全閉塞ではないのでは、生煮えの状態になってこのような虚血の陥り方をするということが多いです。
3)右
塞栓性ですね。もう一気に塞栓でつまってしまうので完全な虚血になるというのが塞栓性の画像の特徴です。
多発性梗塞の場合
1)左の画像
いわゆるA to Aと言われているアテローム血栓症性の脳梗塞の機序で起こるものです。
特徴としてすね、特定の血管領域に沿っての分布しているという特徴があります。
これはですね右下に見えてる、右のMCAですね。
右MCAのA to Aなんですけども、こういった場合ですねMRAで見ると、そこの血管の近位部・根元のところですね、こういったところに狭窄部が見つけられるということが多いです。
2)右の画像
これはもうすごく典型的な塞栓症だと思うんですけども、単一の血管領域で説明できないです。しかも、左右にあるということになると、心臓ですとかどこから塞栓が飛んできたのではないかということが想像できます。
こういったことをもとに血栓症塞栓症というの区別を行っています。
用語の補足(A to AとBAD)
教科書等で、ラクナ梗塞、アテローム血栓、塞栓症いうのは読まれたことあると思うんですけども、実際の臨床ではですね、A to Aの梗塞だったりとか、BAD脳梗塞というのも、よく耳にされると思いますこれはですね。
一種のアテローム血栓症と、ラクナ梗塞のバリエーションだ、というふうにおもってもらっていいと思います。
1)上のA to A
画像は多発性なんですけど、病態はアテローム血栓性というものですね。これどうやったこと起ってるかと言うと、右の図のようにですね、あの元々あったプラークが流れて行ってその先で梗塞を作るのがA to A梗塞と言われてるものですて
2)下のBADタイプの梗塞
一見、ラクナ梗塞のように見えるんですけども病態は、アテローム血栓性にも近いと言われていて、悪くなることが多いとの特徴と言われてます。
なぜ悪くなることが多いかというと、いわゆる古典的なラクナ梗塞というのはですね右のイラストのようにラクナ梗塞と書いてあるところの先が詰まって、それで終わりなんですけどもBADの場合、近位部、つまり、根元の所に血栓があってそれが不完全閉塞してたんだけども、最後完全閉塞になるということで梗塞に起きるため悪くなりやすいというのがBADタイプの梗塞の特徴という風にいわれています。
*画像での、脳梗塞の病態の区別というのは、あの細くに出すと、本当にいろんなバリエーションがあってきりがないんですけどももし詳しく知りたいという方には他の方がスライドで実際の例も挙げてらっしゃいますのでページ下のリンク先の方を見てもらったらいいと思います。
d、治療も血栓症・塞栓症で分かれる
ラクナ梗塞とかA to Aとかいっぱい出てきましたけどももう煎じ詰めると、血栓症・塞栓症の二つに分類されます。
・急性期>維持期で治療が分かれる
1)血栓症
急性期はDAPTスロンノンとするのでスロンノンが終わるとDAPTのみ。維持療法は、単剤療法というのが流れなります。
2)塞栓性
はヘパリンの後、NOACという流れになることが多いです。
DAPTとNOACご存知の方も多いと思いますけども後で詳しく説明します。
この流れを覚えといていただくといいと思います。
3)+α
ラジカットグリセオールていった薬をかぶせると治療の基本になります。
この2つは分けれるんですけども、急性期の場合、どちらの病態なのかよくわからないMRIしかないですのでよくわかんないケースもあります。エコーを見てないしホルダーを見てないので、分かんないということがあってその場合こういったもの(抗血栓と抗凝固)は併用するといった場合というのもあります。
しかし、基本的にはですね、この二つをのどちらかを使用して行うというのが治療の基本になります。
もう少し細かくですね治療薬を見ていきましょう。
・急性期の点滴
1)血栓症
一つはスロンノンですね。血栓症の時に使います。
これ使い方としては、最初の二日間、24時間持続で3日目以降が1日2回というのが添付文書どおりの使い方になります。
ただし場合によっては、特には進行性の脳梗塞の場合はですね。この一週間の量をも四日間で持続で投与すると言った方法というのが行われる場合もあります。
2)塞栓症
次ヘパリンですね塞栓症の時に使用するんですけども
1万単位前後ということが多いです。
開始量1万単位で高齢の方が8千単位ぐらいから始めることが、ちょっと強く聞かせたいなという時に1.2万単位ということもあります。
ヘパリンがちょっと厄介なのは、抗凝固薬が大体そうなんですけど、効き具合が、人によって個人差があります。
この人1万単位で行けるんだけどこの人、1万5000単位行かないと駄目だったことがあります。
で、その効き具合をどうやって見てるかと、APTTの数字ておいたモニタリングしてます。
・内服薬
1)血栓症
DAPTと言われるもんですね。これは、血栓症の時に使用されるものです。
通常のDAPTは、バイアスピリンとプラビックスを併用するといった方法が取られます。
プレタールがこれに加わる場合もあり、バイアスピリン+プレタールという組み合わせになることもあります。
注意は、これを長く併用すると出血リスクが増えるので、通常、3週間~3ヶ月単剤に切り替えて言うことが多いです。
ですので、他院に引き継ぐ場合には、いつまで継続するかの点を充分引き継いでおくということが重要です。
2)塞栓症
でもう一つ、NOACと言われているものです。これは塞栓症の治療法に使われるものです。
注意としましては何種類かあるんですけど、どの薬も剤型が2種類あります。
大体、年齢や腎機能によって多い量、少ない量が決まってます。
これの処方がある時には、量を確認するというにするのが必要です。
NOACの非常に良いところはですね、ワーファリンと違って、INRのcheckが必要なくなるので最近は多く使われる傾向にあります。
・急性期の+αの薬もある
さらには+αと書きましたけれども、併用することが多い薬を書いておきました。
1)ラジカット
フリーラジカルの除去と言われていて、あの血栓そのものに聞いてるわけじゃないんですけど、虚血によって起こるかの機能の障害を
減らしてくれると言われてます。
適応としは24時間以内の脳梗塞に保険適用が通っています。
2)グリセオール
脳浮腫を軽減するので、適応としては、大きな脳梗塞アテローム性や、脳塞栓のことが多いですけどこういった時に使用されます。
一方、ラクナ梗塞のように、小さい梗塞には、あまり使われないという傾向があります。
解説には以下のスライドを使用しました。リンク先からダウンロードできます。
解説は、こちらの本の内容に沿って行いました。
<外部リンク>
1)
脳梗塞の病型診断のリンク先も貼っておきます(外部サイト)。
演習問題もついていて、勉強になります。
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